今回から何回かに渡り、発声のしくみについて説明していきます。”そんなもの知らなくてもちゃんと歌えてますけど”という方も、少しの間お付き合いください。より上手く歌うためのヒントになることもありますし、歌えてはいるけどどこかしっくりこないという方にはきっと役に立つと思います。

さて、声はどうやって出るのでしょうか?多分多くの方は”声帯が震えて声が出ます”とお答えになるでしょう。その通りなのですが、もう少し細かく区分けして以下3ステップで発声のしくみを捉えてみたいと思います。

1. 肺から空気が吐き出される
2. 1.によって声帯が震え音が出る
3. 2.で出た音が咽喉、口中、鼻腔等に共鳴する

よい発声とは上記3つが全て適切に行われる必要があります。その要となっている2の声帯の震えですが、なぜ声帯が震えると音が出るのでしょう。

よく鈴虫が羽を擦り合わせて鳴くように声も声帯を擦り合わせて出すと誤解されるようですが、実際には拍手のように左右の声帯がぱちぱちとぶつかり合うイメージになります(正確にはこれにうねりが加わります)。

さてこの声帯での拍手、どの位の速さで行われると思われますか?正解は1秒間に数百回です。少し前に実際の拍手の速さでギネス記録を持つ人が話題になりましたが、せいぜい1秒間に10数回ですので(それでもすごいけど)比較にならない速さです。

皆さんが何も意識せず話したり歌ったりしている時、声帯はものすごく精密でかつ過酷な仕事をしているのです。たまにはそんな声帯に意識を向けて、できれば普段から無理な発声や喉に悪い環境などは避けるようにしたいものです。いつまでも健康で若々しい声をキープしていきましょう。

歌屋ボーカルスクール
♪Singing songs changes your world.