前回は声の出るしくみ全体について説明しましたが、今回は声帯にスポットを当ててもう少し詳しく見ていきます。

まず声帯のある場所ですが、意外と正確に知っている方は少ないかもしれません。指先で軽く喉に触れ、”あー”と発声した時一番ブルブルと震えているところが声帯の位置です。また前後のポジションとして声帯は前の方に位置し、食道はその後ろ側を通っています。

ちょうど喉のところで声帯のある肺への道と胃に繋がる食道とが前後で2つに別れていて、食べ物など飲み込んだ際は肺への道は蓋で塞がれてそちらへ入らないようになっています。少し前にむせる話をしましたが、何かの拍子で食べ物などが肺への道へ入ってしまうとそれを急いで排出しようとしてむせるという現象になるのです。よく出来ていますね。

声帯の大きさは1.5~2cm程、女性より男性の方が一般的に大きめで、やはり身体の大きい方は大きめとなるようです。またオペラ歌手のようにものすごく声量のある人は特別大きな声帯なのか、というと決してそんなことはなく、声帯そのものは普通の人と特に変わったところはないそうです。やはり声は響かせることが大切なのですね。

さらに声帯のイメージを掴むため、指を使って声帯の動きを模してみましょう。まず指でVサイン(ジャンケンのチョキ)を作り、手のひらを下向きに指先を自分の方に向け、喉を挟むように喉の前に置きます。

この状態から”あー”と発声しながら指を閉じます。そしてブレスの際指を開き最初のVサインに戻します。これを数回繰り返してください。この指の動きが正に声帯の動作そのもので、これに前回書いた震えが加わったのが発声時の声帯の動きなのです。

少々マニアックな話になってしまいましたが、実際に歌う場合の発声で、高音、裏声、柔らかい声、その他いろいろな声を出そうとする際、声帯の動きをイメージすることは大切なポイントとなります。闇雲に歌うばかりでなく、時には自分の出している声と声帯の状態を観察して、それをフィードバックすることがよい声で歌うために役に立ちますので、どうぞ一度お試しください。

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