これまで”歌手”について書いてきましたが、”歌手”の定義を”歌を生業とするもの”であるとすると、”歌手”の歌まねをするいわゆる”ものまね”の人もまた”歌手”であると言えるでしょう。

少し前に青木隆治・荒牧陽子といった歌手本人そっくりの声・歌い方で写実的なものまねをする人たちが登場し、その活躍が話題となりました。

彼らは高い歌唱力を持ち、しかも本物そっくりということで、圧倒的なパフォーマンスを見せています。ある番組でマツコ・デラックス荒牧陽子の歌を評して、”本人より高音がスコーンと抜けて出ているので、その部分は似てない”と言っていました。ある意味荒牧陽子の歌唱力に対する最大の賛辞ですね。

さてボーカルレッスンにおいても、”ものまね”が役に立つケースがあります。ある曲を歌った際、普通に歌えてはいるのだけれど何かしっくり来ない、といった場合、例えば福山雅治であれば独特の低い響き、EXILE ATSUSHIであれば息を入れた発声、桑田佳祐であればシャウトやノリ、といったものを取り入れるとグッと良くなることがあります。

ですので自分が歌った後に改めて歌手がどんな歌い方、発声をしているのかを聴いてみることは大変重要です。それにより歌手が1曲の中で実に様々な歌い方・発声をしていることがわかり、歌い方のヒントや今まで気づかなかった自分の欠点が見えるなど多くの発見があるはずです。

逆に”ものまね”の弊害として、無理な発声をしがち、自分の声・歌い方がわからなくなってしまう、といったことが上げられます。ものまね歌手を目指すのではない限り、”ものまね”はそれを目的にするのではなく、自分の歌い方・声を高めていく手段に留めておくのがよいでしょう。

自分の声・歌い方を追い求めていく、それが歌手・アーティストのあるべき姿ですね。

歌屋ボーカルスクール
♪Singing songs changes your world.