相変わらずカラオケを歌う際の”高音願望”には根強いものがあるようです。男女ともoriginal keyにこだわる方は多いですし、中には男性で女性の曲をorg keyで歌いたい、また女性ではボカロをoriginalで、といった方々もいてまだまだ高音ブームは続きそうです。

当ブログでも高音の発声について過去に書いていますが、今回は更に声帯の使い方に着目しての高音の発声方法を述べてみます。

ただ”声帯の使い方”といっても実際に声を出している際の声帯の様子を見るのは難しく、また一部YouTubeなどに動画があるものの見てもどういった動きをしているのかよくわからないですね。何か気持ち悪い感じですし。。。

そこで皆さんお馴染みの楽器であるギター、そのギターの弦を声帯に例えて説明をしていきます。ギターを弾かれる方はよくご存知の通り、音程についての原則は以下の3つになります。

1. 太い弦と細い弦では、細い弦の方が高い音が出る。
  ギターには6本の弦が張ってありますが、6弦が一番太く低い音、1弦が一番細く高い音です。ちなみにレギュラーチューニングでは6弦と1弦の差は2オクターブになります。
2. 弦の張りを強くすると高い音になり、緩めると低い音になる。
  ギターヘッドにあるペグ(糸巻き)で弦を張ると高く、緩めると低くなります。演奏の中ではチョーキングといって指で弦を押し上げて張りを強くし音程を変化させるといった奏法も用いられます。
3. 弦の長さを短くすると音が高くなる。
  ギターは通常左手の指で弦を押さえて演奏しますが、何も押さえない状態(開放弦と言います)が一番低い音、指で押さえることで弦が短くなり音が高くなります。ボディにより近いところを押さえると、更に弦が短くなるのでより高い音が出ます。

さてすっかりギターの話になってしまいましたが、実は人間の声帯もこの3つと同じような方法で音程を変化させているのです。

詳しくは次回から書いていきますが、ここで一つ高音を出す際によくやりがちな、正しくない方法について考えてみましょう。

皆さんカラオケなどで歌う際、”高音になると大声になる”といったことはないでしょうか。よく”声を張り上げる”といった表現が使われますが、サビの高音部をあらん限りの声を張り上げて歌う光景はどこでも見られますね。

でもギターで高い音を出そうとしていくら強く弾いても、ボリュームは大きくなっても音が高くはなりません。上で書いた通り、音を高くする方法に強く弾くというのは含まれていないのです。

もちろん厳密にはギターの弦と人間の声帯は異なり、大声で歌うことで呼気の圧力により声帯が張られて声が高くなり得ますが、この際の高音は多くの場合喉を詰めた声で聞き苦しいものとなります。

また曲の中でサビを最も大きく歌い上げるのはメリハリを付ける意味で勧められるものであり、サビに最高音部が来るのが普通なので必然的に高音部を大きな声で歌うことになりますが、これは高音を出すことと直接結びつくものではありません。

ややこしい話になってしまいました。またさらにややこしいのは、では高音では強く歌う必要がないのかと言うと、過去にも書きましたが地声で安定した高音を発声するには呼気の勢いというのが重要なポイントとなるのです。但しそれは大声を出すこととは別で・・・ときりがないので一旦ここで止めておきます。

もしあなたが本気で高い声が出せるようになりたいと思われるのでしたら、上に書いた内容はかなり示唆に富んだものとなっているはずですので、どうぞこの禅問答にじっくり取り組んでみてください。きっと何がしかのヒントが得られることでしょう。

歌屋ボーカルスクール 
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