前回高音発声時の声帯の使い方について、ギターの弦に例えて3つあげました。今回からその1つずつについて詳しく説明していきます。

まず1つめは、”太い弦と細い弦では、細い弦の方が高い音が出る”です。

言うまでもなくギターの弦は6本、声帯は1つしかありません。1つの声帯でギターの弦の切り替えを実現するには、”声帯を厚く使う・薄く使う”つまり声帯を使い分けることによって行います。

手のひらを使ってこの切り替えをイメージしてみましょう。両手を神社で神様にお祈りする時のように合わせ、これを発声している声帯に見立て打ち合わせます。手のひら全体を打ち合わせている状態ですが、これが声帯を厚く使っているイメージです。

次に薬指と小指を反らせ、親指・人差し指・中指だけで打ち合わせます。手のひらの上半分だけを打ち合わせている状態、これが声帯を薄く使っているイメージになります。

残念ながら手のひらでは安定した音階が出せませんが、声帯を使い分けるイメージは掴んでいただけましたでしょうか。

また実際の発声で声帯を厚く・薄く使っている例として以下のようなものがあります。

例えば皆さんが何かミスをしたとき思わず、”あ゛ーーー失敗した”みたいに言いますよね。この”あ”に濁点の声(分かりにくければ”がーーー”でも構いませんが)、このガラガラ声のような美しいとはいえない発声は声帯を厚く使っている1つの例です。

また美声で賛美歌などを歌う際の”ハーーー”という発声、こちらは声帯を薄く使っている1例です。

ちなみに声帯を薄く使うことのメリットは高音を出すだけでなく、
・美しい声で発声できる
・喉の負担が軽く、喉を痛める恐れが少ない
といったことがあげられます。

今度発声練習やいろいろな歌を歌う際、この声帯を薄く使う発声を意識してみてください。特に喉を痛めやすい方にはオススメです。イメージが掴みにくければ、最初は”きれいな声で歌う”ことを心がけるだけでもよいでしょう。

こう書いてくると声帯を厚く使うのは悪いことのようですが、決してそういうわけではありません。声帯を厚く使う場合のメリットとして、
・迫力、ボリュームを出せる
・個性・表情・感情などを豊かに表現できる
といったものがあります。

例えばロック系の迫力あるボーカルは鍛え上げた声帯をしっかり使ってこそ出せるものです。何事もどちらかが100%よいというものはないようで。。。やはりボーカルは奥が深いですね。

歌屋ボーカルスクール 
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