声帯の使い方をギターの弦に例えて説明するシリーズ、今回は”弦の張りを強くすると高い音になり、緩めると低い音になる”です。

これは3つの例えの中で一番分り易いのではないでしょうか。例えば輪ゴムを2本の指に掛けこれを弾いて音を出す場合、ゴムをピンと張った際は高い音になり緩めた場合は低い音になりますね。

実際に声帯も引っ張ったり緩めたりといった動作により音程を変化させています。音程が高くなるに連れ声帯が張られてテンションが高くなっていくイメージです。

では実際に私達はどうやって声帯を引っ張っているのでしょうか。これを理解するために、以前当ブログでご紹介した咽頭模型の写真を使って説明したいと思います。

  咽頭模型写真

まず一番下の写真をご覧いただき、声帯の場所を確認してください。写真左が前側(顔のある方)で喉仏のあるのがわかります。そしてその後ろにある白い線のように見えるのが声帯です。

これを引っ張って伸ばすわけで、輪ゴムの例だと両端を引っ張るように思われるかもしれませんが、声帯の場合は喉仏の側は固定されていて、後ろ側から引っ張ってテンションを高くしていく仕組みです。これはギターの弦がボディ側はピンで固定され、ヘッドの側にあるペグを巻くことで張りを強くするのと全く同じで興味深いところです(私だけ?)。

それではこの声帯を引っ張っているのはどこの筋肉でしょうか。普通に考えると後ろ側から引っ張るのだから首の後ろ辺りにある筋肉のように思われますが、なんと逆、声帯を引っ張る際メインの役割を果たすのは喉の前側にある筋肉、”輪状甲状筋”なのです。

今度は一番上の写真をご覧ください。左右に赤い筋肉が見られますが、上部の大きい筋肉ではなく中央に見える小さな筋肉、これが”輪状甲状筋”です。この小さな筋肉が縮むことでその動きが輪状軟骨に伝わり、輪状軟骨に乗っている披裂軟骨が後方に動くに連れそれに繋がっている声帯が後ろに引かれ・・・って文章での説明は厳しいですね。

”わかった!ではこの輪状甲状筋を鍛えれば高い声がラクに出せるのですね”。。。理屈ではその通りなのですが、現状歌屋が知る限りこの輪状甲状筋を直接鍛えるメソッド、トレーニング法というものは開発されていないようです。

長々と説明してきてこんなオチで申し訳ありません。ただ”声帯を引っ張ることで高い声が出る”のは事実ですので、高音を出す際は大声を張り上げるのではなく、”声帯を引っ張って伸ばす”イメージを持つことは非常に重要です。

そうしてトレーニングを続けていくと輪状甲状筋を始めとした喉周りの筋肉が鍛えられ高音が出せるようになるという、卵が先か鶏が先かみたいな話。でも事実B'zの稲葉浩志とかゆずの北川悠仁などすごい首周りだと思いませんか?あれぞまさに”柱のような首”、歌うことで鍛えられた首ですね。

皆さんも歌うことで首周りの筋肉を鍛えて更なるレベルアップを目指してください。そして高音で歌う際は首の前にある小さな筋肉が頑張っているのを思い出して、いたわりの言葉をかけてあげると・・・多分周りから変な人だと思われますのでご注意を。

歌屋ボーカルスクール 
♪Singing songs changes your world.