体調不良でジャパンツアーがキャンセルとなってしまったポール、結局腸捻転で手術を受けていたとのことで、かなり大変だったのですね。何はともあれ無事帰国されたとのことでよかったです。

さてビートルズ歌唱法その2、今回はジョン・レノンです。前回ポールの歌唱法について書きましたが、ジョンの歌唱法はポールとは対照的で実に面白いのです。

まずは見た目から。
1. ポールが脱力して口を柔らかく開けるのに対し、ジョンはやや口元が締まっている感じ。
2. ポールがリズムに合わせ軽く首を振るのに対し、ジョンはあまり頭を動かさない
3. ポールが視線を動かすのに対し、ジョンは一点を見据えるイメージ。

そして実際の発声も、ポールの特徴が柔らかさであるとすれば、ジョンは言語がクリアで鋭いイメージがあります。これは見た目とリンクしていることに加え、二人の発声方法にもう一つ大きな違いがあるのです。

前回ポールの声の特徴は基本的に”胸声”であることと書きましたが、これに対してジョンは”中声”メインの発声をしています。中声についてはこちらの以前の記事をご覧ください。

”中声”は現在のJ-Popでもメインの発声法で、胸声に比べ”クリア”で”軽い”イメージになります。シャウトに関しても、前回ポールは胸声を押し上げて発声していると書きましたが、ジョンは中声を歪ませているイメージ、ギターエフェクターで言うファズとオーバードライブの違いで、ジョンの方が粒が細かく綺麗に歪んでいる・・・ってよけいわかりにくいですね。

このシャウトについてはジョンも自信を持っていたようで、”Oh! Darling”のレコーディングにてポールがシャウトで苦しんでいるのを横目に、”俺の方が上手く歌えるのに・・・”と言ったとか、言わなかったとか。 出典:Wikipedia ”オー!ダーリン”

さらにジョンの発声で非常に特徴的なのが、鼻腔共鳴です。これも中声での発声における大事なポイントで、鼻の裏側の空間に音を響かせるイメージになります。中声はともすると薄っぺらな感じになってしまうことがあるのですが、ジョンは鼻腔共鳴によってクリアかつ響きのある発声を実現しています。

このジョンの鼻腔共鳴はインタビューなどで話しているのを聞くとよくわかります。口をほとんど開けないような喋り方なのに言語は明瞭でビンビン響いて、まるで声がダブリングされいるかのようです。

ちなみに日本でこの鼻腔共鳴が特徴的なアーティストとしては山崎まさよしスキマスイッチの大橋卓弥あたりかと思われますがいかがでしょうか?

さて偉大なアーティストに対して勝手なことを書いてきましたが、気を悪くされた方がいらっしゃいましたらお許しください。

それにしてもジョンが亡くなったのは40歳という若さ、あまりにも早く逝ってしまいました。やはり”もし今ジョンが生きていたら・・・”と思わずにはいられません。ビートルズの再結成はあったのだろうか、ポールと一緒に日本に来たんじゃないだろうか、そして今なお争いの続くこの世界を見て、どう感じ、どんな発言をするのだろうか。。。

歌屋ボーカルスクール 
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