前回に引き続き”愛のままで・・・”の曲構成について、前回は曲全体の構成を確認しましたが、今回は1番の中を詳しく見ていきます。ちなみに”愛のままで・・・”を課題曲として取り上げていますが、述べている内容は他の曲を歌う場合でも有効ですので是非お読みいただきたいと思います。

歌詞は前回と同じくこちらをご覧ください。

 秋元順子さん『愛のままで…』の歌詞

こちらを見ると1番の歌詞が3つのブロックに分けて書かれているのがわかりますが、これを便宜上それぞれAメロ、Bメロ、サビと呼びます。サビというのはその曲で1番盛り上がる箇所と捉えていただければ結構です。語源はよくわかりませんが、おそらく”サビを利かす”からきているのでしょう。

さてここからが本題です。この曲構成に従って、それぞれの部分での歌い方を考えていきます。

まずAメロ、出だしですのであまり飛ばし過ぎず、かと言ってあまり抑え過ぎないようスタートです。車の運転をイメージしてみてください。止まっている状態からスタートする際、いきなりアクセルを踏み込んでの急発進はよろしくないですし、逆に踏み込みが足りずもたもたしているのもNGですね。歌の場合特に出だしが与える印象は大きいですので、”これから何かが始まる”ことを予感させるようなイメージでスマートに歌い出してください。

続いてBメロ、こちらはAメロとは少し違った印象になります。Aメロからサビへ変換していく部分であり、Aメロとサビを繋ぐブリッジであると捉えてもよいでしょう。何か転換していく、変化していくイメージを持って歌ってください。特にBメロ後半はサビに向かってグーンと盛り上げていきます。

そしてサビ、最も盛り上がるパートです。気持よく、スケール大きく歌います。以前”発声方法”のところで”距離感”について書きましたが、サビは原則”遠くに歌いかけるように”歌うとよい感じになります。目線を上げ焦点を遠くに置いて歌い上げてください。

このように曲構成によって歌い方を変えることは、歌を上手く歌う上で非常に重要です。何気なく普段聞いている歌をこの曲構成を意識して再度聞きなおしてみてください。多くの歌手が曲構成によって歌い方を大きく変えていることに気付くでしょう。カラオケなどで下手ではないけれど何か盛り上がらない、という人は最初から最後まで一本調子であることが多いのです。

”曲構成によって歌い方を変える”を一言で言い換えると、”メリハリをつける”ということになります。この”メリハリ”は重要キーワードですので、覚えておいて歌う際には意識するようにしてください。

もちろん歌い方は曲構成だけで決まるのではなく、詩の内容やメロディその他いろいろな要素がありますので、これらはまた少しずつ説明していきたいと思います。

歌屋ボーカルスクール
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