前回”歌詞の意味は理解しなくてよい”と書きましたが、何も考えずにただ歌詞をたどって行けばよいのかと言ったら、もちろんそんなことはありません。では歌詞をどう捉えていったらよいのでしょうか。

そもそも何のために歌うのか、ということについて少しだけ考えてみたいと思います。一つの考え方として、”歌い手から聴き手へ、何らかの情報を伝えるための”としてみましょう。

ここでの情報とは、見たり聞いたりできるものとしてのメロディや歌詞そのもの、歌声や表情・動作などと、見聞きできないイメージ・気持ち・思いといったものの2つがあります。よく歌を聴いて感動したと言いますが、それはやはり目に見えない思いが伝わったときでしょう。

では歌詞に関して伝えるべきものを考えてみたいと思います。また例として一青窈『ハナミズキ』を上げますが、この意味不明の歌詞から何をどう伝えたらよいのでしょうか。アプローチの一方法として、”1フレーズから受けるイメージを伝える”があります。

この歌詞には”5月のこと”、”夏は暑すぎて”といった言葉を始めとして、初夏の頃を連想させるフレーズが多くあります。因みにハナミズキもこの時期の花ですね。ですのでまずここから初夏の爽やかなイメージを感じ取っててください。

またサビのフレーズでは、これだけでは背景は定かでないものの、誰かの幸せを真剣に願い応援している姿がイメージされます。

このように歌詞の1フレーズから受けるイメージを持ち、それを伝える気持ちで歌うようにしてみてください。それだけでただ歌詞をたどって歌うのとは格段の違いが出てきます。歌唱の技術面だけでなく、こういった取り組みも歌が上手くなる上でとても大切です。

歌屋ボーカルスクール
♪Singing songs changes your world.